Saturday, September 20, 2008

なぜ世界を支配するのに、武力を使わない覇権というやり方が必要なのか」

覇権の背景は民主主義の建前

 今回の記事の本題は
「なぜ世界を支配するのに、武力を使わない覇権というやり方が必要なのか」
をめぐる考察である。

結論から先に書くと
「民主主義、主権在民が国家の理想の姿であるというのが
近代の国際社会における建前であり、
ある国が他国を武力で脅して強制的に動かす支配の手法は、
被支配国の民意を無視する悪いことだから」である。

 この建前があるため、表向きは、武力を使わず、
国際政治の分野での権威とか、文化的影響力によって、
世界的もしくは地域諸国に対する影響力が行使され、
それが覇権だということになっている。

実際には、軍事力の強い国しか覇権国になれないので、武力が担保になっている。

 また、他国の政治を動かす場合、
他国の詳細な政局を把握しておく必要があり、
「諜報」は覇権の重要な手口である。

覇権国だったイギリスは、MI6(軍事諜報部、SIS)など世界最強の諜報機関を持ち、
今も諜報力は英の国力の最重要の部分である。

英は、スコットランド独立で国土が縮小し、
米のコピーだった英金融システムが昨夏以来の金融危機で潰れても、
MI6がある限り、他の大国から機密や技術を盗み出し、
それを金儲けに変えて国家の生き残りを画策できる。


 最近の覇権国である中国やロシアは、英米ほど諜報が強くない。

代わりに中露は、経済的な支配力を使って覇権を行使している。

ロシアの武器はエネルギーで「ガスOPEC」の新カルテルなどで
エネルギーの国際価格を操作し、ガスをロシアに頼るEUなどを親露的にさせている。

中国は各地の発展途上国との間で、インフラ・エネルギー投資と、
工業製品の販売を軸に経済関係を結び、影響力を拡大している。

 日本も1970年代から同じことができたはずだが、
対米従属が心地よかったのと、
戦前の悪い覇権国(大東亜共栄圏)のイメージに縛られ、
独自覇権の拡大を否定し、国際政治的な資産を築かないまま、
経済発展の頂点をすぎてしまった。

まだ今からでも方向転換は可能だろうが、
今のところ日本の政府や国民は、どんどん自閉的になるという逆の方向に進んでいる。

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